伊賀上野 (04/07)

先日、新人演奏会 in いがにて、グラナドスの作品を演奏してきました。

 

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素晴らしい響きのホールで、「ゴイェスカス」の愛の言葉を演奏でき、とても幸せでした。

実は、グラナドスの愛の言葉、2019年にパリで演奏するはずだったのですが、
演奏会の延期、延期、延期のため、なかなか演奏できずにいた曲の一つでした。
それだけに、2年越しに舞台で演奏することができて、本当に嬉しかったです。
大好きな曲なので、またブラッシュアップしたいと思います。

 

 

忍者の町、伊賀。町には忍者たちもひょっこり

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街並みも風情があって、素敵な街でした。

新型コロナウイルスの状況が落ち着いたら、ゆっくり観光に来たいと思います!

 

愛と死 (03/27)

先日、演奏させていただいた、グラナドスの「愛と死」について、少し書きたいと思います。

グラナドス作曲『ゴイェスカス』の第5曲「愛と死」は、第1曲から第4曲の主題を次々に回想していき、走馬燈のような印象を与える曲です。

ゴヤの同名の作品に、決闘に敗れた瀕死の男性を、女性が抱きかかえているシーンを描いた版画があり、その作品に影響を受けたと考えられます。
ドラマティックに二人の愛が歌われた後、最後に男性の死が描かれ、そして弔いの鐘が響き渡ります。


meg masque01リヨン国立高等音楽院での最後の演奏会

 

この曲はリヨン国立高等音楽院の入試で初めて弾いて以来、いろんなところで演奏していますが、
弾くたびにたくさんのことを考えさせられます。
技術的にも難しいですが、何より音楽的表現がとても難しい作品です。

グラナドス自身の手によってオペラに編曲されていますが、編曲前からストーリーが目に見えるようなドラマティックな音楽に、
心を鷲掴みにされ、グラナドスを研究するきっかけになった作品でした。

 

実は、この『ゴイェスカス』を作曲した後にもドラマがありました。

作曲者自身の手でオペラに改作され、アメリカで初演されましたが、帰路の船でドイツ軍による無差別攻撃に遭い、グラナドス夫妻はその犠牲となったのです。
このとき、グラナドスは一命を取り留めましたが、波間に沈もうとする妻の姿を見て海中に身を投じ、二人はもつれ合うように暗い波間に消えたと言われています。

このエピソードが、「愛と死」と交錯するような気がしてならないです。
グラナドスの『ゴイェスカス』。今後も大切なレパートリーとして、演奏し続けたいと思います。

名古屋市長賞受賞しました!(03/18)

先日行われた第32回名古屋演奏家育成塾コンサートにて、今年度の最優秀賞である名古屋市長賞、並びに聴衆賞、奨励賞の3つの賞をいただくことができました。

演奏したグラナドス作曲の『ゴイェスカス』は、リヨンで研究してきた大好きな曲ですが、
特に第5曲「愛と死」は弾く度にたくさんのことを考えさせられる難しい曲だなと改めて思いました。
まだまだ修行が必要です。

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奨励賞、聴衆賞の表彰状

 

久しぶりの本番、人前で演奏できることのありがたみを改めて感じ、幸せを噛み締めていました。
どんなに奏者が準備万端でも、会場のスタッフの方やお客様が来れる状態でなければ、演奏会は開催できません。
ストライキやら何やらで、いろんな演奏会が中止になり、こんな当たり前のことを思い知ったこの2年でした。

演奏家としてはまだまだひよっこですが、いろんなことにチャレンジして、
もっともっと魅力的な演奏をお届けできるようにこれからも頑張ります!

 

演奏会の模様はこちらよりご覧いただけます。
第32回名古屋演奏家育成塾コンサート

 

私と自然(03/04)

小さい頃、両親は私をテーマパークや遊園地ではなく、博物館や美術館でもなく、
森や川といった、自然豊かな場所によく連れて行ってくれました。

そのような経験のおかげなのか、シスレーやピサロの風景画が大好きだし、
自然を謳ったような音楽は体にすっと入ってきます。

私の音楽を聴いて生まれるイメージも、やはり小さい頃に見た自然の風景を思い浮かべることが多いです。

 

tree

 

ドビュッシー、グリーグ、シベリウスなど、水や風、植物といった自然をテーマにした作品は多いですが、
実際にその植物を見たり、森の中にある川の流れを見たりすると、ほんの少しだけ、彼らの感性に近づけたような気もするのです。

 

moret sur loing

留学中に足を運んだ、シスレーが晩年愛した土地、Moret-sur-Loing (モレ・シュル・ロワン)

 

自然には人では創り出せないような、光のゆらめき、空気の流れ、水の流れ、色彩、そこに生きる生き物たちなど、様々な情景を見ることができます。
そして、同じ景色は二度と見られないのです。

美しい情景は数々の芸術家の心を動かし、絵画や音楽となって、今にも受け継がれています。
遠出も難しい今だからこそ、彼らの音楽に耳を傾けながら、彼らが描いた自然の中に足を運んでみませんか。

愛の言葉(02/26)

4月4日(日)に三重県伊賀市にて行われる「第40回新人演奏会 in いが」に参加させていただくことになりました。

演奏会情報はこちらから
第40回新人演奏会 in いが

 

演奏会では、グラナドスの『ゴイェスカス』より「愛の言葉」を演奏します。
「愛の言葉」は組曲では第1曲目にあたる曲です。
テクニック的にも『ゴイェスカス』の中で一番難しいと思われますが、
華やかさの中にもいろんなキャラクターが出てきて、大好きな曲の一つです。

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留学中使いこんだ『ゴイェスカス』の楽譜

 

この曲は、「ホタ(Jota)」と呼ばれるスペインの伝統的な舞踊で作曲されています。
「ホタ」は、グラナドスと同時期の作曲家、ファリャの『三角帽子』の終曲などにも使われていますが、
カスタネットの音のような3連符が印象的な舞踊です。

 

『ゴイェスカス』は、以前紹介したように、ゴヤの絵にインスピレーションを受けて書かれました。

マドリードにあるプラド美術館で見たゴヤのタペストリーの下絵が、本当に本当に色鮮やかで、
鑑賞しながら、この「愛の言葉」を思い出さずにはいられませんでした。

音楽という目には見えない芸術なはずなのに、グラナドスの「愛の言葉」は色彩感が豊かで、
ゴヤが描いた生き生きとしたスペインの人々が目に浮かぶのです。

 

実はこの「愛の言葉」は、2019年からいろんな理由で延期され続けているパリのリサイタルでお披露目する予定の曲でした。
今回ついにお披露目できるのが本当に本当に嬉しいです!

他の演奏家の皆さんも、素晴らしい方ばかりです。近郊にお住まいの方はぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです!